こんにちは。山村若です。芸術の秋到来で慌しくしております。
昨日は大叔父・若禄次の追善『若登会』があり「袖香炉」に出演致しました。
宝塚の舞踊会も迫り振付や指導に大童の毎日です。
今週末には、国立文楽劇場にて「東西名流舞踊鑑賞会」があり「貴船」を舞わせて戴く事になっております。
「貴船」は能「鉄輪」から作られた地唄「鉄輪」に謡曲を増補しさらに能に近付けた作品で、山村流の秘曲ともいわれた曲です。女性の嫉妬をうたった代表曲で、丑の刻参りや後妻打ちなど男の僕には大変怖ろしい題材です。
同じ嫉妬がテーマである「葵の上」では、高貴な身分の「六条御息所」が嫉妬心を持つなどはしたないと懊悩しながらも抑えきれずに苦しむのに対して市井の女である「鉄輪」の女性は直情的で最後までその恨みが昇華することはなく、能楽が盛んだったころの女性観が現れている作品です。
地唄舞には珍しい大がかりな二段構成になっており、前段「貴船の社の場」では能「鉄輪」の謡曲をそのまま用いて、後段は「安倍晴明邸の場」として地唄「鉄輪」に加え謡曲を用いての劇的な舞台となります。
地唄舞は女性の為の仕舞として作られただけに謡曲をそのまま取り入れられた形は大曲として扱われたのでしょう。男の僕が舞うとどうしても能楽に近付き過ぎるのが難しいところです。衣裳付でもありますので女形が演じるという形で今回は舞わせて戴こうかと工夫しています。
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