山本能楽堂さん御主催の「初心者のための上方伝統芸能ナイト」、7月から10月の案内を既に街中で目にされた方々も多くいらっしゃることでしょう。水都大阪2009を記念して「水」をテーマにした演目を上演する趣向とのことです。
先日7月4日の回には、地歌「放下僧」を舞わせていただきました。
8月1日は能と同じく「猩々」を舞わせていただこうかと思っています。
「猩々」は、元は長唄(上方では常磐津・清元を含めて江戸唄と呼んでいました。)だった手を地歌の三味線に移した作品だろうと思います。
井上流さんでは「上方唄」と表記されるようです。
山村流では、扇の扱いも地歌として扱っていましたが、地歌の地方の先生から「本来の地歌の手ではない節がある」と伺い、納得しました。(本来、地歌としては「女猩々」という遊女が酒に酔う態を猩々になぞらえた曲があったようです。)
「猩々」は今では、一般的な長唄としては残っておらず、当流で長唄として出す時に曲を取ってもらい演奏していただいています。調べてみると、文政2年に江戸中村座で3世坂東三津五郎が、変化舞踊で「猩々」(真赤な衣裳)から、「まかしょ」(真白な衣裳)に変わる対照で好評を得たとあり、それ以降廃曲となっている一人立ちの「猩々」があったそうです。
上方絵には「猩々」の役者絵は見たことがないので、3世歌右衛門は出していないと思うのですが、
当流に江戸唄として残っていたということはなんらかの形で歌舞伎舞踊からの影響があったと考えられます。
一つの演目でも、伝わってきた経過はさまざまです。
一つ一つ検証してゆきたいと思っています。
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